
世界とつながる「海底ケーブル」の話
~私たちのスマホが海外とつながる仕組み~
皆さんが毎日使っているスマートフォンやパソコン。YouTubeを見たり、SNSで海外の友達とやりとりしたり、Zoomで海外と会議をしたり…。そんな「世界との通信」がどうやって成り立っているか、考えたことはありますか?
実はその多くが、「海の底を通っているケーブル」でつながっているんです。
■ 身近な通信はどうやって届いている?
私たちがLINEでメッセージを送ったり、Instagramで海外の投稿を見たりする時、そのデータは一瞬でやり取りされています。でもその「一瞬」の裏側では、私たちの通信は「ルーター」や「基地局」を通り、インターネット網を旅しています。
日本国内の通信は地上の光ファイバー網などで処理されますが、海外とのやり取りの場合は、その先に「海底ケーブル」があります。実際、国際通信の約99%が海底ケーブル経由だと言われています。
■ 海底ケーブルってなに?
海底ケーブルとは、その名の通り海の底に敷かれた通信ケーブルです。長さは数千km〜数万kmにも及び、太平洋や大西洋など、広大な海を横断しています。
このケーブルの中には光ファイバーが通っており、データは光の信号として送られます。1本の海底ケーブルで数百Gbps〜Tbps(テラビット毎秒)という、とてつもない量のデータをやり取りできるのです。
■ 海底ケーブルはどうやって敷設するの?
海底ケーブルの敷設は、専用のケーブル敷設船によって行われます。浅い海では海底を掘って埋設したり、深い場所ではそのまま沈めたりします。
海底地形や海流、生態系にも配慮しながら、最適なルートを設計。途中には**信号を中継・増幅する装置(リピーター)**も設置され、遠距離でもデータを届けられるよう工夫されています。
■ 日本と世界をつなぐ海底ケーブルの場所
日本は島国でありながら、デジタル時代の通信ハブとして世界中とつながっています。主な海底ケーブル陸揚げ拠点(ケーブルが陸地に接続する地点)には次のような場所があります。
千葉県・房総半島(館山など)
静岡県・伊豆半島
三重県・志摩市
鹿児島県・奄美大島
沖縄県・恩納村
宮崎県・串間市 など
■ 宮崎県から世界へ伸びる海底ケーブル
実は、宮崎県にも国際通信の重要な拠点があります。
県南部の串間市には、アジア太平洋地域をつなぐ海底ケーブルの陸揚げ局が設置されています。
例えば、「JUPITER」という最新の大容量海底ケーブルシステムは、アメリカ・フィリピン・日本(千葉県と宮崎県)をつないでおり、Googleなど大手IT企業も関与しています。
このケーブルは、宮崎県串間市から太平洋を横断し、アメリカのロサンゼルス近くまで続いています。
つまり、私たちが普段何気なく行っている「アメリカのサイトを見る」「海外のサービスを使う」といった行動の裏側には、宮崎から世界へ伸びる1本のケーブルがあるのです。
■ まとめ:海の底が世界の“インフラ”になっている
海底ケーブルは、私たちの生活にとって欠かせない**「見えないインフラ」**です。
SNSや動画配信、海外とのビジネス、あらゆる情報のやり取りが、海の底を通じて行われています。
そしてその中には、私たちの住む地域――宮崎県から世界へつながる道も存在しています。
今後も5GやAIの進展とともに、ますますその役割は大きくなっていくでしょう。
ちょっと海を眺めるとき、そんな「デジタルの海底道」を思い出してみてはいかがでしょうか?